★機械工学科3年生・課題研究発表会が行われました★

3年生工業科課題研究発表会のトリを飾るのは機械工学科と情報システム科、電子工学科。

 今回は機械工学科の課題研究発表会の様子をご覧いただきます。
 1月28日(木)午後に視聴覚室で行われました。

 1班は文化祭でも展示発表した「FRPカウルの製作」。自動車部が新しく製作している省エネカー用FRP製のカウルを製作、制作にあたってはCADを使って設計しました。班員をカメラ担当、技術担当などに分け、小型スチロールカッターの製作やアクリル製テンプレートのCAD設計、大型スチロールカッターの製作、タキロンプレートと呼ばれる車体下のプレート製作など樹脂や硬化剤用いて事前準備を入念に行い、文化祭後に本格的なカウルの製作に取り組み、発表にこぎつけました。
 

 2班は「スターリングエンジンの熱変換効率の向上」。既存のスターリングエンジン(外部から加熱・冷却し体積の変化から仕事を得る外燃機関)をさらに効率よく、速く回転させたいという思いから研究を行いました。外気との温度差を活用して空気を収縮・膨張させ、ピストン運動させるという発想にびっくりしました。また「フライス盤」「旋盤」「溶接」「シャンクドリル」など機械系の専門用語が多く飛び出し、まさに「ザ・機械」という論文発表となりました。
 

 3班は「機械加工~歯車を用いた天体模型の作成~」。身近に使われている「歯車」というものに素朴な疑問を抱き、その歯車がどのような機構で動作し機能しているか気になったことが研究のきっかけ。かみ合うための割合や直径、各歯車との距離などを計算し、その精密さと動作のしくみを研究しました。初めて触るレーザー加工機、加工したことがないアクリル板など新しいことにあふれた研究から得たものは大きかったはずです。「天体の周期」という概念を歯車を用いてまわす研究は素晴らしかったです。
 

 4班は「マイコン(micro:bit)を利用した自作自動販売機の制御」。こちらも身近な自販機に目を付けて、制御のためのプログラムを組みながら、プログラミングの難しさや実際に作動させるための機構の複雑さを実感したはずです。海外に行ってもほとんど自販機を見かけることはありません。日本の治安の良さも影響していると思いますが、日本が誇る大発明の一つを高校生が詳細に研究したことに価値があるのではないでしょうか。
 

 5班は「アルディーノを用いた自動販売機の製作」。こちらの班も自販機に目を付けました。電気工学科の課題研究でも活用されたアルディーノ(Arduino)とは、ハードウェアの「Arduinoボード」、およびソフトウェア「Arduino IDE」から構成されるシステムで、今回モーターを回転させるためのプログラムを作成するのに活用しました。今回はお金投入・お釣りの部分までは研究が及ばず、商品を保管しボタンを押したらその商品が出てくる機能を搭載するのにとどまりましたが、十分時間と手間がかかっている印象を受けました。研究論文の副題も正直に「おつりの出ない自販機」と銘打ちました。世界に類を見ない、上から目線の自販機もいいですよね。
 

 6班は「精密鋳造」。ロストワックス精密鋳造法を利用した作品製作を通して、鋳造の手法や特徴を研究しました。ロストワックス鋳造法とは、ロウ(ワックス)を利用した鋳造方法の一種で、ロウで原型を作り、周りを鋳物砂や石膏で覆い固め、加熱により中のロウを溶かし出して除去することにより出来た空洞に溶かした金属を流し込むと原型と同じ形をした鋳物が出来上がる鋳造法です。ロウを使って石膏で固め、加熱してロウを流し出すという工程を目の当たりにして感動しました。ちなみに「鋳造」は「ちゅうぞう」と読みます。
 

 7班は「資格取得と溶接アート」。初級CAD検定の資格取得に向けて勉学に励んだ成果により、班員全員が合格したことの報告とその講習課程の発表がありました。また静岡県溶接工業協同組合が主催する「令和2年度溶接アートコンクール」に作品提出をするために3班に分かれて、旋盤・溶接・手仕上げを行い溶接アートを完成させました。作品の条件内に「昆虫」または「動物」で作品中に「溶接加工」を施してあるもの、とあり、今回は「トンボの製作」(廃材使用)、「魚の製作」(鋼鉄板使用)、「カブトムシとクワガタの製作」(アルミ使用)をつくりました。魚の作品はタイにもエビにも見えますが、「架空の魚類」ということでクリエイティブな作品に仕上がりました。
 

 どの班からも熱意が伝わってきて、一年間この研究にいかに集中したかが分かりました。この研究で得た成果と課題を今後の人生で生かしていって欲しいです。

 これで工業科8学科すべての課題研究発表会が終わりました。

 理数科(2年生)は2月17日(水)午後0時50分から視聴覚室で課題研究発表会を行います。