校長より

令和4年度 卒業証書授与式 ①

2月28日(火)、「令和4年度第15回卒業証書授与式」を挙行しました。

コロナの影響を鑑み、時間を短縮するかたちでの式典を行いました。

工業科317名、理数科39名、あわせて356名の代表として、工業科及び理数科の生徒それぞれ1名が登壇し、校長から証書を授与しました。

校長式辞から

「朝晩の寒さは厳しいものの、日差しのぬくもりに、春の息吹が感じられる季節となりました。本日、静岡県立科学技術高等学校、令和四年度 第十五回卒業証書授与式を挙行するにあたり、山口PTA会長様竹中同窓会長様、杉浦後援会長様、小池学校評議員様、御来賓の皆様には、御多忙のなか、ご臨席を賜りましたこと、誠にありがとうございます。また、保護者の皆様におかれましては、お子さまの御卒業、誠におめでとうございます。三年間にわたり、本校の教育活動に多大なる御理解と御支援をいただきましたこと、厚く御礼申し上げます。

卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。緊張した面持ちで科学技術高校に入学してから、はや三年の月日が経ちました。皆さんが中学三年生だった頃、私は本校の副校長として、夏の一日体験入学や、各中学校での高校説明会へ行かせていただきました。きらきらと目を輝かせながら、科学技術高校での高校生活に期待を膨らませ、熱心に耳を傾けてくださった生徒の皆さん、そしてお子様を温かく応援してくださった保護者の皆さんの姿が思い出されます。大変厳しい入学試験を乗り越え、合格された皆さんをお迎えする前に 異動により本校を離れることとなってしまいましたが、今年度こうして皆さんと科学技術高校で過ごせたことを本当にうれしく思います。

しかしながら、この三年間は、新型コロナウイルスの影響をさまざまに受け、これまでにない異例の高校生活を余儀なくされました。皆さんが入学してわずか一週間で、臨時休校の措置となり、授業や部活動など、以前は当たり前であったことがかなわず、インターハイをはじめ、各種大会や発表の場、様々な学校行事等も中止や制約を受け、大変残念な思いをしたことでしょう。頑張ってきたことや地道な努力の積み重ねは、絶対に無駄にはなりません。

 そうした大変厳しい状況のもと、皆さんはいつも輝いていました。私は時間の許す限り、校内を歩き回って、授業や課題研究、部活動など、皆さんの学校生活の様子を見させていただいてきました。カメラを片手に撮った写真は、 およそ四万枚になります。「自分もこんな授業を受けてみたかった。科学技術高校で高校生活を送りたかった」と、とても羨ましく感じながら、シャッターをきっては、その光景を学校HPのブログで紹介することを毎日の日課にしてきました。新型コロナの影響で学校行事等が思うように実施できず、保護者の皆様にご覧いただく機会がほとんど無くなってしまったことから、生き生きとした学校生活の様子をお見せしたいと考え、さきほど上映したスライドショーを編集しました。その写真を選ぶ作業の最中、真剣に取り組む生徒の皆さんの様子が思い出され、胸が熱くなり、自然と目頭が熱くなりました。大変な状況のなか、卒業生のみなさんは、本当に輝いていました。そして、心のなかでいつまでも輝き続けると思います。

さて、これから皆さんが漕ぎ出そうとする社会は、ほんの少し先でも予測することが困難な、これまでの概念が通用しない状態で、どのように生きていくかが問われます。進学や就職、それぞれの道を歩き出そうとするみなさんへ贈る言葉として、「微差は大差」ということをあらためてお話したいと思います。

「微差は大差」とは、「ほんの少しの違いが、大きな結果の差につながる」という意味です。たとえば、もし、あなたが日本で一番高い場所に立ちたかったら、富士山に登ればいい。富士山の頂上に立てば、日本一の高さに立っていることになります。しかし、例年大勢の人々が、富士山に登っていますから、ただ立っただけでは日本一にはなれません。「微差は大差」という言葉を私に教えてくださった方は、脚立を担いで富士山へと登られました。富士山頂・剣ヶ峰で脚立に上れば、「日本一」の高さに立てるというわけです。普段の生活においても、「自分からあいさつする」「ゴミが落ちていたら拾い、身の周りをきれいにする」「他の人より少しだけ早く職場や学校へ着くようにする」「自分のやることに少しのこだわりを持って取り組む」等々、ひとつひとつは決して難しいことではありませんし、誰にもできることです。ですが、こうした「微差」を積み上げていくと、やがて大きな成果を生み出すことになります。最初からいきなり大きなことを成し遂げようとしなくとも、まずは、こつこつと、自分にできる「微差」を積み上げていってください。

また、困難な場面に突き当たることもあるでしょう。ある植物学者の本の中に紹介されていた言葉で、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である。」というものがあります。人類の進化をたどれば、私たちは常に弱者でした。弱者は常にさまざまに工夫し、戦略的に生きることを求められます。そして、他の生物が嫌がるような変化だからこそ、弱者にチャンスが宿るのです。皆さんは、この科学技術高校で、様々な学びや経験を積み重ねてきました。培ってきた「ほんものの力」を生かし、「ピンチをチャンス」に変えることができると思います。常に「笑顔と感謝の心」を忘れずにいれば、きっと乗り越えることができるはずです。これからも皆さんにエールを送り続けます。

最後になりましたが、御来賓の皆様方に、重ねてお礼を申し上げます。今後とも、本日巣立っていく科学技術高校生をあたたかく見守っていただくとともに、これまでと同様、本校への御支援をよろしくお願いいたします。

保護者の皆様、お子さまは卒業しますが、今後とも本校の教育活動に御理解、御支援くださいますよう、お願いいたします。本日、科学技術高校を卒業する皆さんの人生が、最幸に素晴らしいものになることを祈念して、式辞といたします。」

来賓を代表して、PTA会長山口様からご祝辞をいただきました。

在校生を代表して、建築デザイン科2年生の鶴橋さんが送辞を述べました。

 

卒業生を代表して、物質工学科の伊東さんが答辞を述べました。

閉式の辞

卒業生が退場します。盛大な拍手で送りました。

☆科学技術高校☆